保育園で働く人の中にも、保育士、主任、園長などさまざまな役職がありますね。運営責任者であり、園の代表ともいえる「園長」は、保育士のキャリアアップとして目指すべきポジションのような気もします。
今回は、園長の役割や待遇、心構えなどを解説します。
保育園で働く人の役職
園長について詳しく知る前に、まずは保育園で働く人の役職についておさえておきましょう。
保育園は基本的に保育園は園長、主任、保育士という構造になっています。もちろん保育園の規模や職員の人数、園児の人数によって異なりますので、副園長や副主任、理事長、事務長などがいる園もあります。
保育士はさらにクラスリーダー、乳児リーダー、幼児リーダー、フロアリーダーなどが設けられ、チームに分かれて業務にあたることが多いようです。
園長は園全体の統括をする存在であり、責任を負う立場。園全体だけでなく保護者の方や行政と関わる、大切な役職なのです。
保育園園長の役割とは?園長について知る
そもそも保育園の園長がどんな役割を担っているのかご存じでしょうか。
資金管理や業務計画、人事・採用、安全・衛生面の管理、保育士の指導など、園長の業務は多岐に渡ります。具体的な仕事内容や求められる能力についてご紹介します。
園長の仕事内容
園長の仕事には、下記のようなものがあります。
- 保育士の指導、マネジメント
- 人事、採用活動
- 園の事業計画、予算計画管理
- 行政との連携
- 会議への参加
- 書類の確認
- 保護者対応
- 園の安全管理・衛生管理
- クラス・子どもたちの様子の把握
- 各行事での挨拶
園長に求められる素質・能力
保育園の園長には、さまざまなスキルが求められます。特に大切なのは以下の3つです。
- リーダーシップ
- マネジメント力
- コミュニケーション能力
1. リーダーシップ
どんな組織でも、上に立つ人にはビジョンを持ち組織が向かう方向を決断する力が求められます。保育園というとビジネスや組織とは違った場に思えるかもしれませんが、求められるものは園長も同様。
園長は園の方針を決めたり事業計画を立てたりするため、きちんと軸を持ってまわりの保育士や園全体を引っ張ることが求められます。
2. マネジメント力
園長は自らが責任をもって仕事をこなす立場であると同時に、保育士や周りの人を育てる立場でもあります。
保育士たちがやりがいを持って働き、それぞれが能力を十分に発揮できるよう、園長にはマネジメント・コーチングをする力が必要不可欠です。
3. コミュニケーション能力
園長は、行政と園、保護者と園、地域と園を繋ぐ存在になります。もちろん園内の関係性を良好に保つことも大切。
それぞれの場に合わせたコミュニケーションをし、信頼関係を築いていくのも園長の役割のひとつなのです。
もちろん園長に求められるのはこれだけではありませんが、少なくともこの3つの能力は園長になるために必須と言えます。保育園の園長になりたい人は、これらの能力を育てることを意識して研修や日々の業務にあたることが望ましいでしょう。
園長の待遇
保育園の最高責任者ともいえる園長、待遇面も気になりますよね。厚生労働省が2017年におこなった調査によると保育士の平均年収は平均342.3万円とされており、全職種の平均よりも低くなっています。園長になると待遇はどう変わるのでしょうか。
私立保育園と公立保育園で異なりますので、それぞれご紹介します。
私立保育園の園長
私立保育園の園長の平均年収は、634.8万円だそうです。やはり保育士よりもかなり高い金額となっていますね。
公立保育園の園長
公立保育園の園長の平均年収は、さらに高い712.8万円。公立保育園の場合は、主任でも平均年収は622.8万円ほどとなっています。
キャリアアップしたい!園長になるには
園長を目指す人に必要な資格などはあるのでしょうか。
園長になるために必要な資格・経験
保育園の園長になるために必要な資格は、私立か公立かで異なります。
私立保育園の場合は、保育士資格が必須ではなく、園長になる場合も保育士資格などの取得義務はありません。
一方公立保育園では、保育士資格を持ち保育士としての経験を積んだ上で、昇格試験を突破する必要があります。
保育園の運営母体によっては園長になれない場合も
「現場で経験を積んだ保育士が、昇格して園長になる」という考えが一般的ですが、家族経営の保育園では園長は家系の中で継がれていきます。そういった運営母体の場合は、そもそも保育士の中から園長を選ぶシステムでない可能性もあります。
「将来はキャリアアップして昇進したい」「園長になって園全体の運営や人事に携わりたい」と考えているのなら、就職・転職する際にそもそもそれが可能な園なのかを確認することをお薦めします。
園長として働きたい時の求人の探し方
園長を目指す方法は、基本的には以下の3つが考えられます。
- 保育士として現場経験を積みキャリアアップを目指す
- 自分で新規開園する
- 管理職候補としての求人を探す
それぞれ、詳しく解説します。
1. 保育士として現場経験を積みキャリアアップを目指す
先ほど「そもそも保育士の中から園長を選ぶシステムでない可能性」があると書きましたが、やはり一般的には現場の保育士の中で、昇格試験に合格した人が園長になるのがメジャーです。
保育士として現場経験を積み、管理職としての知識を深めていくことで園長を目指すことも可能なのです。園長を目指す人のための研修などもおこなわれているようですので、興味のある方は調べてみてください。
2. 自分で新規開園する
現場で働きながら昇格を目指すのとは別に、自分で新規開園し園長になるという方法もあります。
もちろん新規に開園するのは簡単なことではありませんし時間もかかります。しかし現在は「小規模認可保育園」や「夜間保育園」「認証保育所」など、さまざまな選択肢があります。
ご自身の中で作りたい園のイメージがかたまっている方、事業運営や資金調達といった分野にも興味のある方にとっては、魅力のある方法なのではないでしょうか。
3. 管理職候補としての求人を探す
これまでの経験やスキル、知識を活かして管理職候補としての採用を狙うこともできます。
「そんな求人あるの」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、調べてみると全国で保育園園長・施設長やその候補の求人が出ていることが分かります。ぜひお住まいの地域の求人情報を探してみてください。
園長を目指したい人は、まず保育士としての確かな経験を
今回は、保育園園長を目指す方へ向けて、求められる能力や園長の目指し方についてご紹介しました。
園長は責任の重たい役職ですが、その分裁量も大きく、関わる業務の範囲も広くなります。まずは保育士としての確かな経験を積んだうえで、
キャリアアップを目指す方や保育園の経営などにも関わりたい方は、本記事を参考にしていただければ幸いです。
- 参考文献
- 厚生労働省|平成29年度 幼稚園・保育所・認定こども園等の経営実態調査 集計結果について